映画「SEASPIRACY」

2021年3月24日からネットフリックス(日本語字幕付き)で配信開始した「SEASPIRACY」

商業漁業がどれだけ海とそこに生きる生き物にとって破壊的で侵略的かが細かに描かれています。

”海底で網を引きずり根こそぎ捕獲するトロール漁では、大きい網ではジャンボジェット機13機分をまるまるのみこむほどある。その重い網は生命豊かな海底を跡形もなく消し去る。地上では1分あたりサッカーコート27面分の森林が破壊されていると言われるが、トロール船は1分あたりサッカーコート4316面分を破壊する。1年間で破壊する面積は、グリーンランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、UK、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリア、トルコ、イラン、タイ、オーストラリアの総面積に匹敵する。”


多くの環境団体が反プラスチックを訴えています。しかし商業漁業の問題に言及する団体はほぼありません。しかし商業漁業が海に及ぼす悪影響はプラスチックをはるかにしのぎます

”プラスティックで死ぬウミガメは年間1000匹、いっぽうアメリカだけで年間25万匹のウミガメが漁業により混獲され傷つきあるいは殺されている。”

”ストローが海上プラスチックに占める割合は0.03%に過ぎない。”

”「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる160万平方キロメートルを超える北太平洋上の海域のゴミの46%は捨てられた漁網。それ以外の多くも漁具。” 


海の生態系をズタズタにしている最大の原因が「商業漁業」であること。
「持続可能な」ラベルが実際にはまったく持続可能ではないこと(そもそも広大な海で何が行われているか監視できるシステムはない)。

最後のほうで監督は、「持続可能というのは、それが繰り返されるということ」だと言っています。海の生き物を殺すことを繰り返し続ける。それは私たちが目指すべきゴールなのか。そしてアメリカの海洋生物学者で探検家でもあるシルビア・アリス・アール博士のインタビューが映されます。

「魚は痛みを感じるか?それは科学者にとっては常識だ。魚には神経系があって脊椎動物としての基本的な機能を持っている。彼らは私たちが考える以上に、感じることができる。人に触覚があるように、魚には側線という器官がある。側線で水の微妙な動きを感知して、群で泳ぐことを可能にしている。『彼らは痛みを感じないから、恐怖を感じないから何をしてもいい」という人は魚のことを分かっていない。罪なき生き物への卑劣な行為を正当化したいだけ。そうでなければ魚をあんなに野蛮に扱う説明がつかない。」

シルビア・アリス・アール博士は監督の「魚は食べますか?」との質問に

「魚も、他の動物も食べない」

と答えます。


この映画が伝える情報は、海を守ることのできる唯一の選択が「海の生き物を食べない」ということだと明確に認識させてくれます。

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