12月23日(祝・土)映画『はな子さんからのメッセージ』 ~こどくな象と白い鮭の一生~

2016年5月26日 東京都武蔵野市の井の頭自然文化園で飼育されていたメスのアジアゾウのはな子さんが死んだ。
狭い施設のコンクリートの上で、ただ立ち尽くしたまま、61年間にわたり仲間もおらず、彼女はその孤独な生涯は終わった。

あれから一年。はな子さんがどんな思いを抱えてひとりぼっちで生きてきたのか動物目線でとらえたドキュメンタリー映画が2017年8月2日に公開された。監督は、井の頭自然文化園に通い、はな子さんを撮影してきた動物ジャーナリストの佐藤栄記氏。

 

佐藤監督のYOTUBEチャンネルより)

「なぜ、はな子さんをあんな長きにわたりあんな小さなコンクリの中でたった一頭で、群で暮らすゾウをたった一頭で生活させたのか、途中で誰かがこのままじゃかわいそうだとか言えなかったのか。
もちろんはな子さんはあそこの人気者です。スターです。だからあそこからはな子さんがいなくなったら大変です。だから言い出せなかったのかもしれないです。
でも、動物園は子供に夢を与える場所だと彼らが言うのであれば、その夢というのは子供が納得して理解できるようなことをやる場所でなければいけないと思います。
一日何十キロも歩くゾウが、たった10秒で端から端まで行けてしまう。」

「他人の一生、人の一生、他の動物の一生、やっぱりそういうものをわれわれ日本人というのは本来は考えられる民族だと思います。
日本人は針さえ供養する。いままで硬いものばかりをさしてごめんなさいということで、最後はやわらかい豆腐に刺して神社に持っていって供養するという、モノにまで思いやりを持つ民族だと思います。
そういう思いやりある民族だという誇りをもってこれからも生きていきたいと思ったし、おそらく動物園の人たちもはな子さんへの懺悔の気持ちがあって、今回この映画を”どのような編集をしても構いません”とおっしゃってくれんたんだと思います。そういった69年間の生涯を無駄にさせないという意味でこの映画を作りました。」

「どうか一人でも多くの方に見に来ていただけることを望みます。
あなたに、はな子さんからのメッセージが届いています。」

 

この映画では、(自分も含めた)人間が、人間と同じように感受性があり喜んだり苦悩したりするゾウにどんな仕打ちをしてきたのか、はな子さんの目線に立ったありのままの事実が目の前にさらされる。動物園が好きだった人は、おそらく今までと同じように人間目線で動物園の動物たちを眺めることはできなくなるはずだ。
はな子さんの姿は、人と動物の正しい共存関係とは何かを観る人に問いかけてくる。
私たち一人一人が、はな子さんからのメッセージに対して、何らかの答えを出さないわけにはいかなくなるだろう。

以下、上映告知ページより転載です。

 

次回の上映 12月23日(祝・土)

 

映画『はな子さんからのメッセージ』
~こどくな象と白い鮭の一生~

 
☆同時上映☆

最新作『CHASE!~消された群像~』
人気作『PHANTOM PARADISE』

日時:2017年 12月 23日(祝・土)
会場:座・高円寺2 地下二階
東京都杉並区高円寺北2-1-2 / JR高円寺駅 北口徒歩5分

<チケット料金>

一般 1,500円
こども(高校生以下) 無料

愛の手帳や障がい者手帳をお持ちの方 無料
付き添いの方1名様迄 無料

予約不要です。当日直接会場にお越し下さい。
各回定員256名収容可能の会場となっております。

上映後の入れ替えなし、何回観ても料金は一律です。

※当日の上映スケジュールは11月以降に告知していきます。

◇◇◇◇◇◇

上映作品紹介

早くも再再上映です!

『はな子さんからのメッセージ ~こどくな象と白い鮭の一生~』

東京都武蔵野市の井の頭自然文化園で、たった1頭で狭いゾウ舎の中で孤独な日々を過ごし、2016年に69歳という国内最高齢でこの世を去ったアジアゾウのはな子さん。
彼女を一躍有名にしたのは、カナダ人のブロガーでした。

『コンクリートの中で、何の刺激も与えられず、死んだように立っていた』

彼女がはな子さんをそう記したブログは、全世界で大反響を呼び、この状況を改善するべく世界規模での署名が45万筆も集まりました。
然しながら、その時点で既に高齢だったはな子さんは、その翌年には亡くなってしまったのでした。
死ぬ直前になって、世界一有名なゾウになったはな子さんには、生前の映像自体があまり残されていませんでした。
ところが、不思議な巡り合わせによって、佐藤栄記の手元には生前の生きているはな子さんの貴重な映像を撮影していたものが残されており、このブログ騒動以前から、はな子さんの真実に迫ったドキュメント作品を製作したいと、ずっと思いをあたためていたのでした。

はな子さんが他界して1年が経った今年、遂に完成した本作品は、既に300人近くを動員することが出来、沢山の人達に観て頂くことが出来ました。

フルハイヴィジョン映像で蘇るはな子さんの映像と共に、人間目線ではなく、はな子さんの目線から、生きものの一生を見つめなおす、象のはな子さんを取り上げた日本で初めてのドキュメンタリー映画です。

◇◇◇

'17冬、佐藤栄記の最新作です!

『CHASE!~消された群像~』

日本で一番有名な蝶と言えば、アゲハチョウとモンシロチョウではないでしょうか。けれども、今年あなたは、モンシロチョウを見ていますか?
モンシロチョウは現在、全国的に激減しているようです。
そして、民家の軒先に巣を作り、人間の暮らしと密接に関わりながら生きてきたツバメも、年々その数を減らしています。
『CHASE!~消された群像~』は、私達にとって身近な存在であったはずのモンシロチョウとツバメにスポットを当てた、佐藤栄記の最新動物ドキュメンタリー映画となります。
東京23区内に忽然と姿を現した数百匹のモンシロチョウの群…
蝶の楽園と思われたその場所に待ち受けていた悲劇とは…

ツバメがのびのびと飛び交う地方の駅での光景や、関東某所に出現した推定数万羽もの大群の様子など、およそ5年に及ぶ佐藤栄記の渾身の追跡取材によって、知られざるツバメ達の貴重な映像の撮影に成功致しました。
昨今、このような迫力のある、生物の生態と現状を追った映像作品はテレビ番組ではもはや制作出来なくなってきていると危惧しております。
小さなこども達から、ご年配の方まで、幅広い世代の方々へ、我々の身近に生きる生きものたちへの興味や理解を深めていくことが出来るよう、佐藤栄記は日夜映像の編集作業を続けております。

当作品は、12月23日が記念すべき初公開日となります。
栄記さんの映画のファンの皆さん、どうぞお楽しみに!

◇◇◇

本作品のファン多数!人気作品です。

『PHANTOM PARADISE』

東京の都心部に在りながら、人がいない草原。
そこでは、東京ではすっかり見られなくなってしまった生き物たちがひっそりと暮らしていました。

チョウゲンボウ、モズ、トノサマバッタ、ギンヤンマ、アキアカネ、ハイイロゲンゴロウ・・・
それは今、日本中で姿を消しつつある動物達でした。

しかし、そこにある日3人の役人が。。。
幻の楽園は長いフェンスによって封鎖され、中の植物たちは全て伐られていきます。
そんな中で、男はひとり立ち上がり小さな命を救出していきます。

佐藤栄記の真骨頂ともいえる執念の観察記録。
都会の荒れ地の中でも、美しく神秘的に生きる、昆虫たちの命の輝きをどうぞご覧になって下さい。
未就学児の幼いこども達や大人達まで幅広くファンが多い、佐藤栄記の代表作品です。

◇◇◇◇◇◇

≪監督・佐藤栄記プロフィール≫

1962年東京生まれ。
子ども時代を東京豊島区池袋周辺で過ごす。
立教大学中退後、テレビ制作会社に入社。
TBS「どうぶつ奇想天外!」の番組ディレクターとして活躍し、中でも、象使いの少年を扱った担当回では視聴率19.3%を記録する等TBSライブ社長賞等を多数受賞。
現在は関東の生き物を中心に自主製作映画を撮り続けている。

著書「動物トリビア図鑑」(東京書籍)
2015年 映画「東京2020」製作
2016年 映画「PHANTOM PARADISE」製作
2016年 映画「はな子さんからのメッセージ~こどくな象と白い鮭の一生~」製作

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☆Twitter 
映画「はな子さんからのメッセージ」公式アカウント
https://twitter.com/hanakomessage

☆Youtube
佐藤栄記の動物トーク番組『どうぶつ千夜一夜』
https://www.youtube.com/channel/UCAbFwGxcwTKsVjM3gyBzUgQ
1,000回連続放映を目指して毎晩配信中です。
(もうすぐ100夜を達成!)

 

映画を見た人の感想

佐藤監督の映画「はな子さんからのメッセージ」を見てきました。
一緒に行った妹が「あんな狭いところで飼ってたなんて知らなかった。あれは拷問ではないか」というので「そのとおりだ」というと「ゾウは仲間と一緒に暮らすんだろう?たった一頭であんな風に飼ってもよいのか。あんなことをしていたのはさすがに井の頭だけではないのか?」というので「いや、ちがう、日本には他に10頭以上のゾウが一頭だけで飼育されている」「どうしてなのか?あんなふうに飼ってはいけないとか法律的に問題はないのか?」「ない。日本には飼育面積とか具体的な数値基準がない。あれは合法なんだ」
「おかしいじゃないか。保育園でも子供一人当たり何平方メートルとか数値が決まっている。どうしてそれができないのか?」と言われたので調べてみると、児童福祉法第四十五条にもとづき『児童福祉施設の設備及び運営に関する基準』というのが制定されていて、その中に子供一人当たりの面積が定められていました。ちいさな子供ほど動き回る面積が大きいので必要面積も多くなっています。
 
妹は「サンディエゴの動物園に行ったとき、動物はとても広いところで飼育されてて、床はコンクリートではなかった。隠れていて見ることができない動物もたくさんいた」といいます。「なぜ床がコンクリートなのか?」と聞かれたので「水で流して掃除がしやすいからだ。サル山と同じだ。」
 
『はな子さんからのメッセージ』をみると、たくさんの疑問が沸き上がってきます。どうしてあんな風な飼育方法が許されてしまうのか?60年以上ももどうしてはな子さんをあんなひどい状況に置いてしまったのか、だれも「あれは拷問だ」と声を上げなかったのはどうしてなのか?
 
「法律を変えることはできないのか?」と聞かれたので「来年は動物愛護管理法の改正なので、動物施設の面積や飼育方法について具体的な基準ができるよう、みんなで署名を集めてるんだ」と答えました。
 
人の心にさまざまな疑問を投げかける映画です。動物園の問題を知らない人にぜひ見てもらいたいです。

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