【閑話】創作落語4 「猫御前ヴィーガン問答」

ますます、いろんなことに興味を持ち始めた太郎ちゃんですが…
 
なぜなぜ太郎(以下、太郎) :「ヴィーガンっていうのが何かはわかったよ。でも、一人がそうなったくらいで、現状は変わっていくのか?」
猫御前(以下、猫):「それも多くの人が疑問に持つんだよね。でもね、少なくとも、わたしはヴィーガンだし、そのことを通じて太郎ちゃんともこうやって話題を持っている。少なくとも太郎ちゃんは前よりいろんなことを考え始めているし、それは太郎ちゃんの身近な人々も感じることじゃないのかな。」
太郎:「ネズミ講みたいなはなしだな。」
猫:「なんでもどう利用するか、なんだよ。どんな道具でも方法でもシステムでも、いい方向に使えばいいんだよ。」
太郎:「じゃあさ、この際いろいろ聞くけどさ、植物だって命じゃないの?」
猫:「それはほんとうに、みんなが口にするね。そうだよ、命だよ。」
太郎:「じゃあ、植物だって食べてはいけない、ということになるんじゃないのか?」
猫:「わたしはね、保護した猫を育てているし、菜園で野菜も育てているんだよ。猫は食べないけど、自分で収穫したトマトやカボチャは食べるよ。そのことで心は痛まないよ。同じ命かもしれないけど、猫とかぼちゃはぜんぜん違う。わたしは猫を殺して食べるなんてできないけど、トマトをちぎって食べることはすごく好きだよ。」
太郎:「おいらは、何にも育てたり、世話したりしたことなんてないもんな。小学校のときの朝顔の観察日記だって、なにも書かなかったし。」
猫:「それはジェンダーの問題もあるね。」
太郎:「ジ、ジェンダー?」
猫:「社会的に作られた性役割のことだよ。男の子と女の子は違う育てられた方をする。与えられるおもちゃもちがう。着せられる服のデザインや色、期待される性格などもちがうんだ。男の子には、お人形や、草花の塗り絵、そういうのは与えられず、勝ち負けのゲームが与えられやすいんだよ。」
太郎:「そういや俺の妹は、着せ替え人形にいろいろ着せたり、ぬいぐるみのクマやウサギに話しかけたりしていたし、そういうおもちゃを親や祖父母が買ってやっていたな。俺はそんなものもらわなかった。男の子だから、外で遊んで来い、って言われて育った。ゲームも「育てる」系ではなくて、敵を倒す、とかそんなんばっかだったよ。何も育ててない。」
猫:「その結果、男の子は、ケアしたり世話をしたり、保護したり育てたり看病したり、っていう人間として大切な能力を奪われがちで、その結果、鬱や自殺に追い込まれるような人が多いんだよ。」
太郎:「そっか。育てられる過程が違いすぎるんだな。動物愛護や動物保護の人たちは女性が多いもんな。ケアの仕事も、いまでこそ男もいるけど、ずっと女性だった。家庭内では無償だもんな。」
猫:「同じ命でも、それとこれとは違う、って敏感に分かるんだよ。いつも命を相手にしている人ならば。カメラやコンピューター、車やバイクは男性コーナーに売ってある。料理は女性がすれば当たり前だけど、男性がすれば褒められたりするもんね。」
太郎:「そうだな。今まで考えもしなかったよ。でもさ、こないだARCでビーガンメンズ総選挙やってたろ?いろんな男性がたくさん出ていたな。男でもいるんだよね、実際。」
猫:「看護師や介護士にも男性は増えてきたね。マッサージ業にも。男性が少ない場所だから、とても頼りにされるんだよ。アニマルライツやヴィーガンでも同じことなんだね。」
太郎:「モテたいから、ケアの仕事をする、アニマルライツ活動をするっていうのは、だめかい?」
猫:「いいと思うよ。どんなきっかけでも、わたしはいいと思う。少なくとも、合コンや婚活、メンズエステなどにお金を使うよりはずっといいし、ずっと出会いも多いはずだよ。」
太郎:「今度、デモかなんか、連れて行ってくれよ。」
猫:「うん、わかった。みんな新しい人が来るととても喜ぶよ。若い男の子はすごく活躍できる。」
 
 
すっかり、乗り気になった、太郎ちゃんです。
 
 
 
文責:猫家知恵蔵
 
 猫家知恵蔵ブログ
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著書「Veganという生き方」「生きルーム」

http://mind-k.com/book/

 

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