書籍:生活のなかの法律

「大学生が知っておきたい」とうたわれていますが、社会人としても意外と知らないことだらけだったことに気付かされます。
最初の章はもう手遅れだなと思いつつも、「未成年者取消権ってなに?!」「アルバイトって有給休暇があるの?!」など、知っていたほうが良い法律が列挙されています。
学生時代を過ぎた私達にも社会保障や結婚、離婚などのライフサイクルの中で必要となる知識が、教科書らしく要点を短く伝えてくれます。
この本の帯に書かれている通り、「法律は知らないものには味方しない」のだということを実感することでしょう。

さて、一見エシカル、またはヴィーガンと無関係なこの実用本ですが、後半2章の内容はたんなる生活を守るための本ではない、『より良い社会のために』という個々人が集合して構成されている社会、その中での個々人の役割、消費社会の中で起きている暗い側面についても書かれているのです。
その中の1ページを、生活の裏側で隠されている犠牲、動物について取り上げられており、動物を人が使用する上で必ず必要であるアニマルウェルフェア(動物の福祉)が解説されています。

動物の問題だけでなく、人権問題、平和問題についても言及されています。
最初に読み始めるモチベーションはおそらく個人のために知っておいたほうが生きる上で得であろうという知恵を得るためだと思います。けれども、社会の中で生きるということは、社会や法律で守られることもあれば、私たち自身が責任を果たしこの社会を守る立場に持たななくてはならないのだと知ることになります。
良い社会を作っていくのは、自分たち自身であり、それは直接的ではなくても、自分たち自身のためになるのだと気付かされます。

社会は常に変化しており、その変化が良い方向に向かう努力を続けている人がたくさんいます。
社会保障や法律の形はずっと変化してきましたし、これからも変化していきます。税金の使いみちも然り、です。
本来は、その変化は、国民全員が作り上げていくものです。
けれども、私も企業内で働いていましたが、働き始めてしまうと、そのような動きや努力している人々の姿はまるで他人事のように見える瞬間があります。そして企業の中で守られているような気持ちになってしまいます。
それではダメなのですね、政治や自分が正しいと感じた運動には積極的に参加し、それがむずかしくても、消費、生活、環境、さまざまなものに関心をもち、丁寧に正しい判断をしていくことが求められるのだろうと思います。

本屋に行くと、「30歳までに知っておかなくてはならない・・・の本」「知っておくべき30の・・・」のようなHOW TO本が数多く売られていますが、そういった本を読み進めても、自分を磨くこと以外のことはあまり書かれていません。この本、貴重なHOW TO本です。


 
大学生が知っておきたい生活のなかの法律

 

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慶應義塾大学出版会にも、この書籍の詳細な情報が掲載されています。
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766423204/
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