翻訳はアニマルライツ活動家 井上太一氏。
彼による翻訳は「動物と戦争」「動物工場」「動物・人間・暴虐史」に続く4冊目となる。
本書もこれまでと同様内容の色濃いものになっている。
話はアメリカの大手食肉加工会社ホーメルフーズの屠殺場を中心に進行する。
と畜場、食肉処理場、言い方は様々だが、結局のところ屠殺場は動物殺すところだ。オートメーション化された高速のラインの中でノコギリや回転ナイフが動き、人は糞尿と血まみれになりながら作業しなければならない。事故、感染のリスクが常に身近にある危険な職業だ。一日に一頭でも多くの動物を殺すことが求められる屠殺場の裏で、搾取され続ける労働者の姿が本書では明らかにされる。
基本的に企業は利益を得るためであればなんでもやる。一応法律の範囲内でだが、範囲外になるとロビー活動で法律をねじまげることすらやってのける。アメリカの食肉業界はそれほどの力を持っている。労働者がそれに対抗するのは至難の業だ。ましてや商品とされる畜産動物には抗うすべもない。
畜産動物への過酷な扱い、労働者からの搾取。肉の価格を抑えるために行われているこれらの暴力はそこだけにとどまらない。畜産動物の監禁施設で発生する抗生物質耐性菌や大量の糞尿による環境汚染は人々の健康を害し、水道水を飲むこともできない状況にまで人々を追い込む。
本書では、歴史的背景、最新の事実に基づき、次のことが明らかにされる。
『安価な肉は決して安価ではない』
低価格、利便性を追求した安い肉のあふれる現代社会に生きる私たちにとって、読んでおいて損はない一冊だ。
お求めはこちらから。
http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1622-4n.html
http://honto.jp/netstore/pd-book_28207354.html
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784846116224