漫画「世界を変えたくて僕を変えた」

著者:Natsumi

一作目「ベジタリアンは菜食主義ではありません」から6年ぶりとなる本書は、前作がエッセイ調であったのに対して、しっかりとしたストーリーが仕立てられている。
サブタイトル「花ちゃんと大地のやさしい生活」のとおり、主人公の大地が豚の花ちゃんと出会い、動物にも健康にも環境にも優しい生活を実践していく、というストーリーだ。

前作を読んだ方なら分かると思うが、著者の描く絵はとても優しい。人物もそうだが特に動物の表情が豊かで見るものをあたたかい気持ちにさせる。

本書では、鶏や牛や豚がどんなふうに飼育されているのか、体の一部の切断から屠殺まで細部にわたって描かれている。
「絵」であるため、残酷な写真や生々しい映像が苦手だという人にも手に取って読んでもらいやすいと思う。ただし、筆者の描く絵は、実際の写真や映像よりも、人の心を動かすかもしれない。写真や映像では表現しにくい動物の気持ちが、著者の描く優しい絵からリアルに伝わってくるからだ。

豚の目線で描かれた、産まれてから屠殺されるまでの過程は、実際にその過程を何度も繰り返し見て慣れ、残酷なことに耐性ができてしまったと思っていたアニマルライツ活動家の心も強く揺さぶる。
いままで動物の置かれている状況を知らなかった人なら、なおさらだろう。

本書で豚の花ちゃんは大地に何も押し付けない。
健康にやさしい選択、環境に優しい選択、動物に優しい選択を提示するだけだ。選択するのは大地自身。読む人が自分だったらどうしようかと考えさせられる内容になっている。

その作品の価値が、どれだけ多くの人の心を動かしたかで決まるものなのだとしたら、本書の価値はとても高いものになるだろう。アニマルライツの意識のあるほんの一部の人だけではなく、その他大勢の人々の心をも動かす作品だからだ。

もちろんシリアスな場面ばかりではない。前作に登場した肉に増税する「菜食総理」や「KFC(かわいそうだよ フライド チキン)」のような、著者特有のユーモアも随所にちりばめられており、隅々までじっくり読んで面白い一冊になっている。
個人的には「日本では今三人に一人がガンになっている」「ガーン」という一コマ(ベタすぎるのだが絵が面白い)が一番お気に入り。

あなたもぜひ手に取ってみていただきたい。
読んだ後できっと、ほかの人にも読ませたくなるだろう。
 

マンガ:世界を変えたくて僕を変えた
http://store.shopping.yahoo.co.jp/animal-rights/zbdd4wssm2.html

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