世界で最も有名な自閉症者であり動物学者の著者のテンプル・グランディン(Temple Grandin)。
「自閉症を持つ人は動物が考えるように考えることができる」。このように言う彼女の書いた本書には、動物が何に怯え何に安心し、どういう状況で恐怖を感じ、くつろぐのか、なぜそのような行動をとるのかが丁寧に書かれている。
バーガーキングやマクドナルド、スウィフトなど多くの企業の動物福祉コンサルティングをつとめ、彼女が考案した人道的屠殺場システムは、米国の牛と畜場場の半分で使用されている(彼女はこのシステムが広く普及するよう特許をとっていない)。またOIE(世界動物保健機関)の畜産動物福祉基準を作ったのもほとんど彼女だと言われている。
彼女は畜産を否定していない。
そのため動物の権利活動家からは非難をうけることもある。しかし実際には彼女の考案した屠殺場システムや、畜産動物の取り扱いを評価するための客観的なスコアリングシステムは多くの場所で採用され、多くの畜産動物の恐怖と苦痛を軽減させた。
2004年には、アニマルライツを主張する団体であるPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)から、毎年動物福祉に貢献してきた個人や団体に贈られるプロジー・アワード(Proggy Award)を受賞している。
動物がどういう時に幸せを感じるのか、動物が何を望んでいるのか、
アニマルライツ活動家にも、動物福祉活動家にも読んでもらいたい一冊だ。