参院選2016 動物保護に関する政党アンケート結果を発表

7月10日(日)に行われる参議院選挙に向け、NPO法人アニマルライツセンターは、各政党および無所属の候補者の制作アンケートを行いました。
結果はこちらからご覧下さい。

アンケート結果は現時点では自民・民進・社民・共産と無所属の候補者数名からの回答が掲載されており、その他は回答が届き次第順次更新されていきます。

「殺処分ゼロ」はもう当たり前?

自民・民進・社民・共産はもともと政策の中に「殺処分ゼロ」が明記されています。
具体的に行動している議員を見ると、議連を立ち上げ活動に大きく貢献している社民党の福島みずほ参議院議員などが今回の参院選の候補者になっています。

殺処分ゼロを実現するためには、具体的に数々の方策が必要です。
まずはペット市場に供給される動物の数の削減が必要です。50万頭以上が売られていく中で、ゼロの達成は不可能に近いでしょう。
聞こえのいい「殺処分ゼロ」を言うのは簡単ですが、動物の数の削減に取り組むことの出来る政党はどこなのか、政治家は誰なのか、見極める必要があります。

さらに、「法律・政令・規則等において、動物の種類ごとに行動学に基づいた飼育基準を定め、適正飼育を推進する」に「はい」と回答をしたのは、社民党と共産党、生活の党と山本太郎となかまたちでした。
この適性飼育の基準がなければ、ネグレクトの取り締まり、とても狭いケージでの閉じ込め飼育など、不幸な動物たちを守ることはできいません。殺処分ゼロを推進すればするほど、行政は引き取りをしなくなっていきますので、死ぬよりも厳しい状況に置かれている動物たちを救う手立ては、もはや「ゼロ」になっていきます。実は殺処分ゼロを目指すのであれば、動物行動学に基づいた科学的な適正な飼育基準を明確にし、それを規制に反映していかなければ、日本の中に不幸な動物が増え続けるだけになる可能性があるのです。

畜産動物を守ってくれるのは誰?

単なる人気取りではないことを見極めるためには、この項目を見るのがよいでしょう。
畜産動物に対する政策と実績で、政党を比較してみました。

政策では、

共産党は「身動きの取れない狭い囲いの中で」の飼育、つまり妊娠ストールやバタリーケージに当たると考えられる飼育を避けるべきだと書いています。さらに「外科的処置」つまりクチバシを焼ききるデビーキングや、豚のしっぽや牙の無麻酔での切除と無麻酔の去勢手術、牛の角やしっぽの切断を減らすことを明言しています。そこまで言及してくれるとは!と嬉しい回答です。

社民党は、「過密飼育」つまりバタリーケージや日本で増えている過密飼育を改善すると明言しています。下記の通り実績があるだけに、具体的な改善への動きが期待できます。

生活の党と山本太郎となかまたちは「必要な法令にいわゆる「5つの自由」を明記し」と書いています。法改正に対し積極的であることがわかります。​

公明党の多くが与党なだけに農水省が述べることと同じですが、「動物の種類ごとの生理、生態、習性に応じて適正に飼養することにより、家畜のストレスや病気を減らしていくことに努めることが大切だと認識しており」と重要な事を認識していることがわかります。

自民党、民進党は現在農水省が述べることと同じことを述べています。

実績では、

社民党福島みずほ参議院議員(今回の候補者)が、畜産を含めた動物保護に関する提言書を消費者庁に提出に同席、サポートしています。
民進党には今回は対象ではありませんが民進党の小川勝也参議院議員畜産動物の福祉を向上させるべきと農林水産委員会で発言しています。

動物実験への意識が高いのは?

ここは明らかな違いが出ています。

まず、共産党は、党の政策の中に代替法の推進が明記されています。「代替法の採用を進め、動物実験を可能なかぎり回避するよう努めるべきです。」

さらに社民党は「化粧品など代替方法で安全性を確保できる場合は基本的に動物実験は禁止すべき」と強く明言しています。
この記事内ですでに3度めの登場ですが、社民党の福島みずほ参議院議員(今回の候補者)は、この明言した内容通り、厚生労働委員会で化粧品の動物実験を規制していくべきであるとする答弁を行っています。

生活の党と山本太郎となかまたち、動物実験に関する規制を海外にならい整備すべきだとしており、力強いです - 「他の先進国の法制度から見ても、1日も早い法制度化が必要と考えます」。

民進党、「必要のない実験の抑制や動物実験の情報公開を進めます。」もう一歩ほしいところですが、現状よりは一歩先へ進む予感がします。

いがいにも意見の分かれている動物園

どこで意見が分かれているのか、というと、現在の動物園の状況に問題意識を持っているかどうか、という点です。
社民党、共産党は動物園水族館の問題、現実を認識していると捉えることができます。
社民党は「狭い檻や水槽、長い距離の移動などを改め、可能なかぎり自然に近い形での展示とすべき」としており、改善が必要であることを明記しました。
共産党は「人間と動物の絆」のために重要だとしながらも、改善が必要であると述べています。
自民党は予算削減により「縮小や統合」が問題であるとしている点が、他の政党と異なる点です。一頭あたりの広さは拡大されるべきですが施設が縮小され統合され飼育される動物数が減少することは、動物にとっては望ましいことです。
とはいえ、「質的な水準の向上を図り」としおり、「適切な使用施設における適切な飼養管理が展示動物(特定動物等)の保護に繋がる」と述べています。わかりにくい書き方ですが、環境の改善の必要性は否定していないと取ることができます。

無所属の候補者の考えをしる

無所属は厳しい戦い、だからなのか、回答率は良くありません。
その中で、佐藤香(東京)候補は、「日本には「動物の福祉」という概念が定着しておらず、多くの畜産動物が劣悪な環境下に置かれています。EUのように動物の福祉基準を設け、商品に「動物の福祉」ラベルを貼り、消費者が選択できるような施策を求めます。また、食糧廃棄を減らせば不必要な殺生も減らすことができると考えます。」と書いており、問題の認識とその解決策を含め、とても評価でき、また具体的な動きを期待できる内容でした。

由良(ゆら)登信(和歌山)候補、あべ広美(熊本)候補なども動物問題の認識があることがわかります。

選挙は行きましょう

このアンケートは、「動物のために何かしたい」「動物を救いたい」と思っている有権者にとって、重要な指標のひとつになるアンケートだと思います。
ぜひ投票前にチェックをして下さい。

一票を入れなければ、入れる人たちに有利な政治が行われていきます。当たり前のことで、選挙に行かなかったなら文句の言いようもありません。
期日前投票なども利用して、あなたの一票を無駄にしない、さらにその一票を動物やあなたの考える良い社会にするために、役立ててみてはいかがでしょうか。

結果はこちらからご覧下さい。

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