詩人「金子みすず」

大漁

朝焼け小焼けだ 大漁だ
大羽鰮の 大漁だ。

濱は祭りの やうだけど
海のなかでは 何萬の
鰮のとむらひ するだらう。
 
 
金子みすず
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「みんなちがってみんないい」というその一行だけがあまりにも独り歩きし、しばしば悪用されている感もある、有名な詩人金子みすず。
 
「とむらひ」という表現に、彼女のアニマルライツ魂を感じる。わたしたち人間が死ぬときと同じ「弔い」という表現を使っている。同じ命だという思いを、わたしは強く感じる。鳥や獣に対する想いを表現した詩や随筆はけっこうある。このカテゴリでもわたしはいくつか紹介してきた。魚に対するものは格段に少ない。なにかないか、とずっと考えていて思い出した。そうだ、みすずだ。
 
彼女の生家を訪れたことがある。もう10年前くらいになる。そこは博物館になっている。直筆でいろいろな資料を読むことができた。線が細い、かわいらしい字で、このような繊細で慈悲に満ちた詩が、そこにはたくさんあった。
理解は遅れてやってくる。わたしは10年かかったことになる。
 
 
 
猫家知恵蔵

 

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