『マスコミ・セクハラ白書』女性が守られない社会を変えよう

私達はこんな社会で動物の権利を獲得しようと闘っているのか・・・
読み終わって途方に暮れた一冊です。

メディアで働く女性のネットワーク「WiMN」が多くのメディアで働く女性の声、実体験を集めて一冊にまとめた「マスコミ・セクハラ白書」、自分たちがいる社会がなぜいまいちなのか、正しいことが通らず、忖度やら嘘がまかり通るのか、不平等が当たり前なのか、そして、日本のマスコミが「マスゴミ」と揶揄される理由がここに記してありました。

本書は14名のメディア関係の女性へのインタビュー記事、そして11名のメディア関係の女性自身が書いた記事が掲載されており、メディアやその周辺の業界に起きている、または起きた悲惨なセクハラ、パワハラの実態が書かれています。
とくに最初の14名のインタビューは衝撃です。
警察、政治家、官僚、、、特に警察のハラスメント、倫理観の低さにはもう絶望しかありません。

しかし、闘う女性たちがではじめていることに勇気をもらいます。沈黙してはならないと、日本社会に生きる女性であれば誰もが受けたことのある小さなハラスメントひとつひとうに、声を上げていくべきだったのだと気が付かされます。
小さなハラスメントに目をつむってきたから、誰かのところにより悲惨なハラスメントが起きているのです。

日本に権利運動はなかなか根付かないので理解されていないことも多いのですが、権利というのは勝ち取っていかなくてはならないものです。勝手に義務と対になってついてくるものではありません。
日本は法律が弱者を守ってはくれません。それは権利を勝ち取ってこなかったから、闘ってこなかったから、沈黙したり、笑って許していたり、男を立てろとか言われて押し黙ってきたりしてきたからです。

この笑って許す文化はやっかいです。
責任の所在をあいまいにし、公正さを失い、不平等を作っていきます。
沈黙は、相手の能力を見誤らせるという意味からしても悪質な行為です。沈黙は加害者を利するだけで、次の被害を生み出します。つまり、被害を見てしまったり被害にあってしまったら闘う以外に出口はないように思います。
ハラスメントをしている人の多くは、自分がハラスメントをしていると気が付かないものです。特にセクハラはわからないようです。馬鹿すぎると感じますが、そうなのです。しかし、気が付かないことで罪を軽くしてはならないのです。日本はこればっかりです。知らなかったから、嫌がっていると気が付かなかった、同意したと感じた、加害者の言い訳は通用し、被害者の訴えは退けられる社会です。
それはやはり、小さなことがどこかで許されてきたから、起きていることなのではないかなと思います。

最後に、動物の権利や福祉を守る業界でも2018年には海外で#MeTooの波が起きました。
私も驚きましたし、ショックでした。カリスマ的だった彼が・・・?
たとえ動物保護という最たる差別に反対する人であっても、ハラスメントは起きるのです。
動物の権利論がわかっていても、実生活で女性の権利までわかって行動しているとは限らないのです。女性の権利運動をする人が動物の権利をわかっているとは限らないことと同じです。

これを機に、動物の団体の多くはハラスメント規約を強化していっています。アニマルライツセンターもすでにハラスメント規約を持ち、あらゆる差別を容認しない立場にあります。

 

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